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トレーニングフォームの動作解析を非研究者がやってみた

こんにちは、MYoACTマーケティングチームです。

今回はMYoACT(マイオアクト)をつかって、トレーニングの定番(?)メニューである、リバースクランチの動作解析をおこないました。

当記事で用いた方法であれば、トレーニングに関する知識は必要ですが、「動作解析」における専門的な知識はほぼ不要です。MYoACTとChat GPTの力を借りると、定量的にフォームの動作を解析してフィードバックを得ることが可能です。

実際におこなった分析方法と、分析結果についてもお伝えしていきます。

非研究者がトレーニングフォームの動作解析をしてみた

今回分析対象としたトレーニングの「リバースクランチ」は、おもに下腹部にアプローチするトレーニングメニューです。

腹筋が弱い方でも取り入れられる反面、フォームを間違えて首筋を痛めてしまう方も多いメニュー。定性的なアドバイスだけでなく、定量的かつ具体的なフィードバックが得られたらと思い、今回の分析課題に取り上げました。

左側が良い例、右側が悪い例の元動画と解析結果です。

※MYoACTのアプリ内で確認すれば、ビューワーは3D表示ですのでグリグリ全方向から確認できます。

今回実際に使用したCSVファイルはこちらです。

非研究者でもできるトレーニングフォームの動作解析方法

今回おこなった手順はとても簡単で、たったの2ステップです。

  1. MYoACTでトレーニングフォームの動画を解析にかける
  2. CSVファイルで分析結果をダウンロードし、Chat GPTに読ませる

MYoACTでトレーニングフォームの動画を解析にかける

まずはMYoaCTにて、それぞれの動画を解析にかけます。

※登録がまだの方は、何回か無料クレジットで解析できますのでご登録ください。

以下のステップで解析できます。

  1. 分析動画の情報を入力(人物の身長と体重、分析タイトル、メモ)
  2. 動画をアップロード
  3. 動画を10秒にトリミング(UI上でできます)
  4. 動画内の分析対象者を選択
  5. ボタンを押せば分析スタート

ここの手順はとても簡単ですので、具体的にはサービス内のチュートリアルなどでご確認ください。

CSVで分析結果をダウンロードし、Chat GPTに読ませる

MYoACTのUI上でも結果は確認できるのですが、やはりちゃんとした解釈をおこなうには、時系列データの詳細を確認することが必要です。しかし研究者でもない限り、ここがとても大変です。Chat GPTに頼りましょう。

MYoACTでは時系列データをCSVほか様々な形式でダウンロードできます。

今回は良い例と悪い例のCSVファイルを同時にアップロードして、下記のプロンプトで指示しました。

リバースクランチの良い例と悪い例の時系列データをアップします。レップの区切りはつけていないので、データの中から1レップを抽出して解析してください。時間がかかってもいいので、深い解析をお願いします。

だいたい5分くらいで結果が返ってきます。

リバースクランチの良いフォームと悪いフォームの違い

今回の分析から得られた知見をもとに、リバースクランチの良いフォームと悪いフォームの違いについて解説します。

主に以下の項目について比較しています。

  • 股関節屈曲(左・右)
  • 膝屈曲(左・右)
  • 骨盤後傾
  • 腰椎伸展(≒腰の丸まり/反り)
  • 胸椎伸展(胸の丸まり)
  • 頚部伸展(首の動き)
  • 股関節屈曲モーメント(左・右)
  • 腰椎伸展モーメント

※本項目内に掲載している数値と解説内容については、Chat GPTの回答結果の内容を変えない程度に編集し、そのまま掲載しています。

脚の使い方(股関節・膝)の違い

良い例では膝は90°前後で安定し、股関節の動きも20°前後と控えめです。一方悪い例では、股関節も膝も大きく動いており「脚を振り上げるレッグレイズ寄り」のフォームになっていました。

具体的な数値の違いは以下のとおりです。

項目良い例悪い例
左股関節屈曲約75〜97°(レンジ 約22°)約36〜83°(レンジ 約48°)
右股関節屈曲約74〜94°(レンジ 約20°)約30〜77°(レンジ 約47°)
左膝屈曲約89〜97°(レンジ 約7°)約75〜125°(レンジ 約50°)
右膝屈曲約79〜83°(レンジ 約4°)約65〜110°(レンジ 約45°)

良い例は 「膝角度をほぼ固定したまま骨盤を引き寄せる」 のに対し、悪い例は 「膝を大きく曲げ伸ばしして脚を振っている」 状態になっていました。

また悪い例は、股関節の振り幅が良い例のほぼ2倍。つまり「脚を大きく振り上げている」動きになっていました。

骨盤・腰椎・胸椎の分担の違い

良い例では、股関節のピークと胸椎の丸まりのピークがほぼ同期し、骨盤の後傾もその前後でなめらかに連動しています。

悪い例では脚と骨盤が先に大きく動き、胸椎・腰椎のピークは少し遅れて出ます。「脚を先に振り上げ、あとから腰・背中がついてくる」 時系列になっていました。

項目良い例悪い例
骨盤後傾(骨盤の回転)レンジ 約22°レンジ 約85°
腰椎伸展(腰の丸め/反り)レンジ 約7.7°レンジ 約15.7°
胸椎伸展(胸の丸め)レンジ 約26.4°レンジ 約14.9°

首・上半身の使い方の違い

悪い例は首の角度変化が良い例の約3倍。特に中盤〜終盤で大きく反ったり戻ったりする動きが見られます。「頭を持ち上げたり反ったりして勢いをつける」 要素が強く、頚椎へのストレスも増えやすいパターンです。

良い例は頭〜首が比較的安定しており、肋骨と骨盤の距離を縮める動きがメインになっています。

肩周り(肩屈曲など)は両者とも徐々に位置が変わる程度で、今回の「良い/悪い」を分ける決定的要因にはなっていませんでした。

項目良い例悪い例
頚部伸展(首)レンジ 約17°レンジ 約45°

モーメント(負荷のかかり方)の違い

悪い例では、股関節屈曲モーメント・腰椎伸展モーメントともに 良い例の約2倍の振れ幅がありました。

「脚を遠くまで振り出してから戻す」「脚の重さを腰で受ける」動きになっているため、腰椎・股関節周りの負担がかなり大きいことが示唆されます。

項目良い例悪い例
股関節屈曲モーメントレンジ 約10レンジ 約23
腰椎伸展モーメントレンジ 約29レンジ 約56

動作解析結果からわかるリバースクランチで気を付けるポイント

今回分析した結果をまとめると、良いフォームでトレーニングするために気を付けるポイントは、以下の4つに集約されます。

  • 膝角度は90°前後に固定する
  • 胸と骨盤を近づける。腰だけで丸めない
  • 脚を振り上げない
  • 首で勢いをつけない

もちろん上記の注意点はよく言われていることですが、分析結果をもとにすると、以下のような定量的な解釈が可能になります。

膝角度は90°前後に固定する

膝を曲げ伸ばしするのではなく、曲げた膝の位置をそのまま骨盤に近づけることが重要です。

良い例では膝屈曲角度のレンジが 4〜7°程度 に収まっています。
悪い例では 45〜50° 動いており、「脚を振る」動きになっています。

胸と骨盤を近づける。腰だけで丸めない

みぞおちと恥骨の距離を縮めるイメージで、腰だけを丸めるのではなく、胸も一緒に丸めることが重要です。

良い例では胸椎レンジが26°、腰椎レンジが7.7°であることに対し、悪い例では胸椎レンジが15°、腰椎レンジが15.7°でした。

良いフォームでは、胸と骨盤が一緒に近づきますが、悪いフォームでは腰椎が過剰に動いて胸の動きが足りません。

脚を振り上げない

ポイントは、足を遠くに持っていかないことです。太ももは体幹の真上〜やや手前くらいに収まる範囲に留めます。

良い例では股関節屈曲レンジが約20°、モーメントレンジが10〜18だったのに対し、悪い例では股関節屈曲レンジが約47°、モーメントレンジが23〜43でした。

首で勢いをつけない

顎を軽く引き、視線は天井〜膝の中間くらいに固定することが重要です。「頭から起き上がる」のではなく、「みぞおちから丸まり始める」感覚を重視します。

頚部角度レンジは、良い例だと約17°、悪い例だと約45°でした。

まとめ

本来であればレップごとに区切った綺麗なデータを元に比較するのがセオリーですが、Chat GPTにレップの区切りまで頼ってしまえば、そこのコストが削減できるのも便利でした。

もちろん実際の動作と分析結果が合っているか確認・理解する知識は必要ですが、動作の分析自体はとても簡単におこなえます。

正しいフォームがわかる方、あるいはフォームが間違っていることはわかる方で、良いフォームに向けた具体的な言語化が必要な場合などに、とても有用な使い方です。

トレーニング指導の現場や、自分たちのフォームを自分たちでフィードバックするようなチームでは、無限の活用法があるように感じます。

MYoACTを利用して、トレーニングフォームのフィードバックを得てみてはいかがでしょうか。